『ねこの秘密』山根明弘
ごく個人的な読書メモ
猫の歴史や生態が知れてとても興味深い1冊だった!
第1章 ねこ小史
・古代エジプトではペットのねこが死ぬと眉を剃って喪に服したとのこと。ミイラにして猫専用墓地に埋葬された。故意でなくてもねこを殺してしまうと死罪となった。
・1800年代にエジプトで大量のねこのミイラが発見された。推定8万体ものねこのミイラを肥料にするために(!)イギリスに運んだ実業家がいたが事業としては失敗した。
・古代ギリシャ・ローマではネズミ捕りの仕事はフェレットに任せていたのであまりねこを飼うことに熱心でなかった。
・ローマ帝国拡大に伴いヨーロッパ全土に広がった。
・1000年前にはヨーロッパのほぼ全域、インド・中国には2000年前に伝わったと言われている。
・キリスト教が広がると異教徒が神聖視するねこが迫害の対象となった。
・日本には奈良時代から平安時代初期に渡ってきたと考えられてきた。
・しかし2007年に兵庫県姫路市見野古墳から猫の足跡のある須恵器が発見され、約1400年前の飛鳥時代には本州に猫がいたことが判明した。
・更に長崎県壱岐島のカラカミ遺跡にて猫の骨と見られるものが発見された。2100年前の弥生時代に壱峻島に猫がいたということになる。
第2章 ねこの魅力はどこから来るのか?
・ねこは体の大きさや形が1万年ほとんど変わっていない。自由気ままなため人間が繁殖をコントロールするのが難しかった、もしくは人間が魅力ある完成された形と考えていたから?
・尾曲がりの野生ネコはいない。長崎県は尾曲がり率80%。
・キジねこのアイラインはクレオパトララインと呼ばれている。
第3章 ねこの誕生
・ねこの発情期は日長に影響を受ける。冬至を過ぎて日が長くなり始めると発情するようになる。北半球では大体1月から3月頃だが、都市部のねこは発情回数が増えている。夜も明るいため季節感覚がずれるのか、栄養の摂り過ぎか。
・何度も繁殖し子猫を育てた雌の方がモテる。雌の発情は数日から2週間続く。
・妊娠率はほぼ100%、妊娠期間は約2か月。大体3~6匹、多いと20匹以上生んだ記録もある。
・母系社会。雌が共同で子育てすることもある。
・ノラネコの子猫が1歳まで生き残るのは20%位だった。(フィールドワーク先の相の島)原因は病気、仔殺し、被捕食、交通事故等。
第4章 恋と青春
・ねこの視力は人間の10分の1程度。目から15㎝より近いものはよく見えない。一番よく見えるのは2~6m離れたもの。赤色はよく見えない。
・網膜奥のタペタムで目の中に入ってきた光を増幅されることにより、人間が見える光量の6分の1でも物を見分けられる。
・ねこの視野は280度。
・人間が聞き取れる高周波数は2万ヘルツだが、ねこは6万5千ヘルツまで聞き取り可能と言われている。
・ねこの臭覚は人間の数万倍から数十万倍と言われている。(犬は100万倍)
・ねこの味蕾の数は人間の10分の1以下。味にうるさいと思われているのは味覚よりも匂いや社会化期に刷り込まれた食べ物の影響と思われる。
・ひげで空気の流れや気圧さえ感じとると言われている。
・体の約5倍の高さまで跳躍できる。
・ノラネコの平均寿命は3~5年。
・ノラネコにボスはいないが上下関係、順位はある。
・ねこの集会については未だ不明。
・炭水化物は栄養にならない。昔猫まんまをあげていた頃は外で小動物を食べて補えたのではないか。
・ねこにも同性愛がある。(メスと交尾ができないストレスのはけ口に若いオスに?)
・都会のねこの方が異父兄弟の割合が高い。
第5章 老後のくらし
・ねこの長寿ギネス記録は38年3日。
・おばあさんねこは母系集団の中で安泰な老後を過ごすこともできるが、オスは生涯孤独。
第6章 ねことひとの幸福な関係を求めて
・ノラネコにキャットフードをあげると栄養状態が良くなりエネルギーを蓄積、その余剰エネルギーで繁殖していく。
・地域猫活動は1997年横浜市から。
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